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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《雪たたき(ゆきたたき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,132 字 · 56 頁
日本国は泉州堺の商人でござる。高麗大明、安南天竺、南蛮諸国まで相手に致しての商人でござる。御武家には人質を取るとか申して、約束変改を防ぐ道があると承わり居りまするが、其様なことを致すようでは、商人の道は一日も立たぬのでござりまする。御念には及びませぬ、臙脂屋は商人でござる。世界諸国に立対い居る日本国の商人でござりまする。」
と暗に武家をさえ罵って、自家の気を吐き、まだ雛である右膳を激動せしめた。右膳は真赤な顔を弥が上に赤くした。
「ウ、ほざいたナ臙脂屋。小気味のよいことをぬかし居る。其儀ならば丹下右膳、汝の所望を遂げさせて遣わそう。」
「ヤ、これは何ともはや、有難いこと。御助け下さる神様と仰ぎ奉りまする。」
と真心見せて臙脂屋は平伏したが、ややあって少し頭を上げ、憂わし気に又悲しげに右膳を見て、
「トは仰あって下さりましても。」
と、恨めし気に主人の方を一寸見て、又急に丹下の前に頭を下げ、
「ヤ、ナニ。何分御骨折、宜しく願いまする。事叶わずとも、……重々御恩には被ますでござります。」
と萎れて云った。
雛※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)は頸の毛を立てんばかりの勢になった。