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ゆきのシベリア

雪のシベリア

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《雪のシベリア(ゆきのシベリア)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,276 字 · 19 頁

青空文庫

無断で病院から出て行って、三日間、露人の家に泊ってきた男があった。それは脱営になって、脱営は戦時では銃殺に処せられることになっていた。だがそれを内密にすましてその男は処罰されることからは免れた。しかし、その代りとして、四年兵になるまで残しておかれるだろうとは、自他ともに覚悟をしていた。

だが、その男も、帰還者の一人として、はっきり記されてあった。

そして、残されるのは、よく働いて、使いいゝ吉田と小村の二人であった。

二人とも、おとなしくして、よく働いていればその報いとして、早くかえしてくれることに思って、常々から努めてきたのであった。少し風邪気味で、大儀な時にでも無理をして勤務をおろそかにしなかった。

――そうして、その報いとして得たものは、あと、もう一箇年間、お国のために、シベリアにいなければならないというだけであった。

二人は、だまし討ちにあったような気がして、なげやりに、あたり散らさずにはいられない位い胸がむか/\した。

三

――汽車を待っている間に、屋島が云った。

「君等は結局馬鹿なんだよ。――早く帰ろうと思えや、俺のようにやれ。