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ゆきのうえのあしあと
雪の上の足跡
堀 辰雄
線上閱讀堀 辰雄《雪の上の足跡(ゆきのうえのあしあと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,685 字 · 12 頁
学生はそこを立ち去りながら、なぜ彼女たちは泣いたのだろうかと考える。別に自分がその話を感動的に話したからではない。それはきっとその話のペテロに起った出来事が、彼女たちにも、又、自分にもいくらか関係しているからなんだろう。とおもうと、そんな昔から今日まで、断絶せずに続いている一つの鎖が見えるような気がしている。自分がその一方の端に触れたので、もう一方の端が揺れたのだ。真理と美とがあの大司祭の庭のなかで人びとを導いた、そうしていまもなおそれが我々を導いている。そう考えると、学生には急に自分に青春と幸福の感じが帰ってきて、人生が何か崇高な意味に充ちみちているように思われて来る。――そういった筋の、五六頁ばかりの短篇なのです。しかし、僕はそれを読んで、なんだかその学生と一しょになって泣きたいほど、感動しました。
主 ふむ、いい短篇だね。僕は読みそこなっていたが、いつかその本を貸してくれたまえ。しかし、君の話だけでも、大体は分かるね。ちょっと其処にある聖書をとってくれないか。そこのところを読んでみよう。ルカ伝だったね。(聖書をひらいて読む)「……やがて鶏鳴きぬ。