輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《雪の上の霜(ゆきのうえのしも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,586 字 · 50 頁
「おたよにはまったく済まない、どうか勘弁して下さい」
腰掛に掛けて食事の注文をするとすぐ、彼はひそめた声でこう云った。
「やっぱりそうでしたの」おたよは横眼で睨んだ、「――やっぱりその千草という方となにかおありでしたのね」
「ばかなことを云わないで下さい、私はまじめです、こんどこそおちつける、条件もいいし自分でも悟るところがあった、こんどこそおちついて、少しはおたよにも楽な生活がさせられると思ったのに、やっぱりだめになってしまって、じつになんとも、面目ないといっていいか済まないといっていいか」
「もうたくさんです、わかっていますわ」
おたよはそっと良人の腕に触った。
――あなたはいつも自分の取るものを投げだして、誰かを救ったり庇ったり、仕合せにしてやったりなさる。どうしても、そうなさらずにはいらっしゃれないし、これからもその御性分は変らないでしょう、それでいいのです。おたよはそういうあなたが好きです。そういうあなたとごいっしょに暮すことができれば、それだけでおたよは仕合せですわ。
彼女はこう云いたかった。しかし、じっさいには逆に、やさしく睨んで、もっと声をひそめながら云った。