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ゆきのとかち

雪の十勝

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《雪の十勝(ゆきのとかち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,729 字 · 8 頁

青空文庫

「段々鼓の側面」のキャプション付きの写真

段々鼓の側面

今一つこの十勝岳の観測地点は気温も全く申分ない条件をそなえているのである。冬の真中で大体最低零下十五度最高零下十度位の所を毎日規則正しく変化しているのであって、気温の変化が非常に少いために、観測者の身体が直ぐそれに馴れてしまって仕事が非常に楽なことである。普通に考えて零下十度というと、全く細かい研究などの出来ない寒さと思われるのであるが、此処での体験によるとこれ位の寒さが雪の研究には丁度良い気温であることが分ったのである。自分たちは別に寒さに対して特に強いとは思われないにもかかわらず、不思議とこの白銀荘で四、五日仕事を続けていると、戸外に朝から夜の十二時近くまで立って仕事をしていても別に大した寒さを感じなくなるのである。勿論一時間置き位に室内へ入って、ストーヴで暖まっては出て行くのであるが、それにしても少し妙だと我ながら感心する。生中煖房の設備などがないと身体の方が自然の方に適応して行くらしいのであるが、そのためには気温の変化が少いということが一つの有利な条件のように思われるのである。零下十度位になると、雪の結晶は全く安全で、どのように弄っていても融ける心配はないので、勝手に切ったり細工したりして調べることが出来る。