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ゆきのよる
雪の夜
小林 多喜二
線上閱讀小林 多喜二《雪の夜(ゆきのよる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,967 字 · 31 頁
友だちといっしょにこういう処にくることがあった。が、彼はしまいまで何もせずに帰る。そんな時彼は友だちに「童貞の古物なんかブラ下げているなよ、みっともない!」と言われる。が、それは彼には当っていなかった。彼は童貞をなくすことにはそう未練を持っていない。ただその場合だって、お互が人格的な関係にあることが、彼には絶対に必要だった。彼は友だちのように、「商売女は商売女さ」そうはなれなかった。彼はそういう女をどうしてもエロチックには感ぜられなかった。すぐその惨めさがきた。それで彼は生理的な発作のようにくる性慾のために、夜通し興奮して寝れないことがあった。こんなことで苦しむのはばかげたことかもしれない。が、プルドーンが、そんな時屋根の上にあがり、星を眺め、気を沈め、しばらくそうしてから室に帰り眠るということをきいて、同感だった。同じ気持の人がいるかと思うとうれしかった。
彼は顫えがとまらなかった。何度も室の中を行ったり来たりした。彼は次の間を仕切っている襖をフトあけてみた。乱雑に着物がぬぎ捨てられてある、女の部屋らしく、鏡台がすぐ側にあった。その小さい引出しが開けられたままになっていたり、白粉刷毛が側に転がっていた。