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ゆき
雪
楠田 匡介
線上閱讀楠田 匡介《雪(ゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 頁
「この間の、何とかいうえこじなお爺さんの殺された?」
「ああ、おことわりしたんだがね、東京地裁にいた久保田さんが、検事になってきているんだよ――日本の国も、広いようでせまいんだね」
警視庁の捜査一課の係長、田名網幸策警部は新聞社の人達や、親しい人達から「アミさん」の愛称で呼ばれている人で、休暇を取ってこの恵須取の町に来ていた。
北緯五十度の国境から三十里南下した西海岸にこの惨劇事件の起きた恵須取の町があった。韃靼の海を前にして、海岸線にそうた一本道の町であった。
大正の末期、密林を切り開いたこの町に樺太製紙は、その膨大な資本下に製紙工場と炭鉱を建設した。
迎いに来た警察署の犬橇に乗って、田名網警部は「下町」と呼ばれている市街へ降りて行った。
珍しく風もなく晴れた日で橇の滑金の下ではキシキシキシと心よい軋音と鈴の音が針葉樹の壁の中を後ろに流れて行った。
警察署は丸太作りの床の高い建物で旧ロシヤ時代の郡役所をそのまま改造したものであった。橇の鈴の音を聞いて署長は自分から迎いに出て来た。
「やあ、ご苦労さまです。とんだお願いをしまして……」
「いや、どうも」