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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《電気風呂の怪死事件(でんきぶろのかいしじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 頁
第二に、由蔵が、何故にこの天井裏に異常のあることを認めて、此処まで上って来たかということである。いくら気が顛倒していた場合とは云え、他の人間に知らせずに、こんな所へ一人で上って来る筈はない。
第三に、最も不審なことと云えば、女湯で惨殺された彼の婦人の着衣も下駄も一物として発見されぬ事である。仮に当時の女湯の客で、手の長い人間か、狼狽者が居たとして、その女の着衣を持ち出したとしても、足袋の片足や、湯文字の一枚までも残さぬなどという大胆不敵な行動が、あの際出来るものでなく、下駄の無いことに至っては、もはやそんな生暖い想像は覆えされるべきことであろう。
最後に疑問として残ることは、当時数人居たと想像される、いや、居たに相違ない女湯の客が逃げ出す時、どうしてこの女が殺されたことを誰一人として知っていないのであろうか。いくら女は気が弱いと云っても、その辺のことを考えると怪しむべき余地は充分にあろう。が、これも、殺された女が事件を他に悠々と落ついて、たった一人で何時までも湯槽に漬っているなり、流しているふりしていたと考えれば、幾分合理性も認められるが、浴客中に、もしもその様に落ついた女が一人も居らなかった場合を考えると、天井裏に穏れて、かねて計画の機会を待っていた犯人が人知れず或る女を殺したり、活動写真を撮影したり