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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《青べか物語(あおべかものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 頁
夫婦は博奕で勝つときもあった。勝ったときは家へ帰って、二人で酔っぱらって、適当に口喧嘩をして寝てしまう。しかしたいていは負けるのがきまりで、するとあさ子がことば巧みに何人かを客として家へ伴れ帰り、しょうばい物の五色揚を肴に酒を飲ませ、博奕場で負けた分の幾割かを取り戻す、ということになるのであった。
或るとき、駐在の巡査が来て、これを営業法違反であると指摘した。あさ子はべらんめえ調で猛然とはむかった。問答の細部はわかっていないが、あさ子は知っている限りの毒舌をふるい、若い巡査は昂奮のあまり口がきけなくなった。
「わかりましたよ、ええ」とあさ子は云った、「そんなら五色揚を店で売ればいいんでしょ、そうでしょう」
それから朝日屋ではそれを実行した。客を伴れて来て酒の支度をすると、勘六が外へ出て店台の前に立ち、おい、てんぷらを呉れ、とどなる。
するとあさ子が出ていって、おやいらっしゃい、幾らあげますかと云う。幾ら幾ら呉れ。はい幾ら幾らですね。あさ子は五色揚を経木に幾つか包んで亭主に渡す、お待ち遠さま、一つお負けですよ。おいよ。亭主は銭を渡し、経木包みを持って家へはいり、公明正大なような気分で飲みだす、というぐあいであった。