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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《青べか物語(あおべかものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 頁
こうして十幾人もの人と、言葉を交わしたり、目礼したりしたが、ついに青べかを発見することはできなかった。
「まっすぐに川をくだったんだ」と私は呟いた、「海へいっちまったんだな」
その日の昏れがたに、窓の外で倉なあこの声がした。窓をあけてみると、倉なあこは沖着のぼった姿で、頬っぺたの赤い、いい男ぶりの顔で笑っていた。
「青べかを曳いて来ただよ」と倉なあこはゆっくりと云った、「沖の三番のみおでふらふらしてただ、どうしただね」
私が答えると、倉なあこはまた笑った。
「しようがねえがきどもだ」と彼は、あんまりしようのないような口ぶりでなしに、やさしく云った、「こんど来たらどなってやるがいいだ、やつらもそれほどわる気はねえだからな、一つどなってやればいいだよ」
私が答えると、倉なあこは頷いて、棹と櫂はすぐに持って来る、と云ってたち去った。そのあとで、私は堤へいってみた。青べかは杭につながれて、私に見られたくないとでもいうように、ひっそりと洗い場により添っていた。もう川の水面も暗いので、近よってみても細部はわからないが、青いペンキはあばたのように剥げ、ふなばたがところどころ欠けていた。