輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《青べか物語(あおべかものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 頁

青空文庫

土堤の春

ている。いま、極めて深いところから、かすかに、いのちの囁きが彼女の眠りを呼びさまそうとしているのだ。

「ああつまんね」と繁あねが云った、「いくら見てえても釣れやしねえに、おらいくべ」

私はまたタバコに火をつけた。

「へたくそだな、先生は」とお繁は立ちあがりながら云った、「こんなへたくそな釣り、おんだらまだ見たこともねえ」

私は黙って沼のほうを眺めた。お繁の歩き去るのが聞え、まもなく、彼女のうたうわらべ唄が聞えてきた。

「――向う山で鳴く鳥は、ちいちい鳥かみい鳥か、源三郎のみやげ、なにょうかにょう貰って、金ざし釵もらって……」

土堤の春

初午の宵の七時ころ、「蒸気河岸の先生」は窓際の机に向って原稿を書いていた。田圃を隔てた町のほうから、太鼓や笛の音が、高くなり低くなり、跡切れたかと思うと急に拍子を早めたりして、聞えて来た。先生はにやにやしながら独り言を呟く、書いている史劇の中のせりふが気にいったらしい。

安倍晴明(胸を反らせて)「私は博士安倍晴明だ」

弘高(片手をあげて)「神慮汝の上に安かれ」(大股に去る)

声に出して読んでみてから、火鉢にかけてある鍋のほうを見た。