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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁

青空文庫

秀英塾の生徒は皆秀才だということになっていた。

「余っぽど、怠けたのだね、毛利は」誰かが答えた。

「すると、三人とも落第――?」

「異議なし」

秀英塾では落第すると給費を中止するという規定を教授達はみな知っていた。が、誰も想い出さなかった。そうして三人の落第は簡単に決定した。

教員室の壁に小さく貼出された紙を見て、落第だとわかると三人は赤井の発言で早速受持の教授を訪問することにした。下鴨にある教授の家の玄関で待っていると、教授が和服のまま出て来て、突っ立ったまま、

「どうもお気の毒だが、決ってしまったものは致方ない。僕も頑張るだけは頑張ってみたのだが、欠席日数があれではね」その癖その教授は彼等の落第を主張した一人だった。受持の教授が自分のクラスの生徒の落第を主張するのはおかしいと、眉をひそめた教授もあったくらいである。

玄関での立ち話では、三人とも頼むべきこともろくに頼めなかった。阿呆らしい気持で早々に辞すと、足は自然に京極の方を向いた。途々、赤井はひとりで興奮していた。豹一はわりに平静な気持だった。落第と決れば秀英塾から追放されることは免れ得なかった。