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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁
(ちょっとぐらい社のタイピストと問題を起しよっても、構へんやろ。この男前はなかなか使い道があるぞ)と、編輯長は思った。
「どんな方面の仕事が担当したいねん、言うてみ。カフェー廻りはどないや。それともダンスホールか」カフェーやダンスホールの評判記でかなりの読者を獲得している新聞だったのだ。ところが、豹一の言葉は編輯長をがっかりさせてしまった。
「僕の性質としましては、あまり人なかに出るのは適当じゃないと思いますので、なるべく社内でやるような仕事をしたいと思います」正直な言葉だった。
「内勤か?」編輯長は不機嫌に口をとがらした。
「内勤はいま一杯ふさがっとる。校正やったら一人欠員があるけど――」校正と聞いて、豹一はぞっとした。畳新聞社で二年間毎日やっていた校正の辛さが想出された。豹一はあわてて言った。
「外勤でも結構です」
「――そうか。そんならひとつ気張ってやってんか。――そんなら今日はこれで帰って良えぜ。あした朝九時に来てんか。いま皆外へ出てるよって、あした皆に紹介することにしよう」
豹一ははっとした。じつは面会の時間は九時と通知されていたのだが、例の癖で一時間以上遅れたのである。