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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁
全くそうした事件がなくとも、キャバレエに出ることなど自他ともに想像も出来ないような女だった。附焼刃にしろ、教養のある女優といわれていた。知性の女優とよばれていた。それゆえに人気もあり、また事件も一層大袈裟に騒ぎ立てられたのだ。事件のあとで歌など作っていた。だから、けっして彼女から、売り込んだ話ではない。わかりきったことである。佐古が持って行った話だ。当然のこととして、彼女ははねつけた。泪を流した恨めしそうな眼で、じっと佐古をにらんだのだ。普通の神経をもった男なら、それきりで諦めた話だった。ところが佐古にはそうしたものが欠けていた。
「あんたの人気を維持するためじゃおまへんか、それに、いま引っ込んでしもては、一生女優として立てなくなりまっせ。なにも、いつまでも居て貰おうとは思てしまへん。ここでの話でっけどな、うちの経営者が△△キネマを買収する計画を樹てていますねん。こら誰にも言わんといとくれやすや、その暁はあんたに一枚看板になって貰わんならん。芸術映画ちゅうもんをやりまっさかいな、どうしてもあんたみたいなひとに出て貰わんならんのや。つまりやな、あんたは△△キネマの舞台挨拶にでも出るのや思てくれはったら、よろしおまんねん」