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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,593 字 · 325 頁
四
途端にげっと吐き気を催した。動物的な感覚がこみあげて来て、豹一はたまり切れずげッ! ばッ! とやった。石畳の上へ吐きだされた汚物からかすかに湯気があがるのを見ながら、豹一は今夜の仕事が未だ残っていることをふと想った。金刀比羅天王の赤い提灯がひっそりと揺れていた。
四
夜の一時を過ぎると、気の早い拾い屋が道頓堀通のアスファルトへ手車を軋ませながら、薄汚い姿を現わす。それと前後して、どこから集って来たのか、おびただしい数の自動車が夜中の葬式のようにずらりと並ぶ。カフェの灯がぽつりぽつりと消されて行って、やがてあわただしい暗さがあたりに漂うと、アスファルトは急に凍てついた白さに冴える。そんな暗さの中に最後まで残っていた「オリンピア」の灯も、やがてひとつひとつ消されて行き、ほの暗くなった表口からショールにくるまった女給たちがぞろぞろと出て来て、寒い肩をすぼめていた。ひとり毛皮の外套を着た女がすらりとした長身で、飛ぶように出て来て、五六台並んだいちばん前の車に駆け寄った。
扉がひらいた。
「さあ、どうぞ!」そう言ったのは、中折を阿弥陀にかぶった佐古だった。
「お送りしまひょ!」