輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あおくさ
青草
十一谷 義三郎
線上閱讀十一谷 義三郎《青草(あおくさ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,645 字 · 14 頁
寝着のままで裏へ出た。雑草が露の重味で頭を下げ霧に包まれた太陽の仄白い光りの下に胡麻の花が開いていた。彼は空を仰ぎ朝の香を胸いっぱい吸った。庭の片隅の野井戸の側に兄が蹲まっていた。弟の近寄る跫音を聞くと兄は振返えって微笑んだ。眼鏡を外した左の眼が白い貝の肉のように閉じている。
先きを輪にした長い蛙釣りの草が二三本そばに落ちており、兄の手には細い解剖刀がキラキラと光っていた。兄はそれをブリキ板の上に乗っている大きな蛙の口へつっ込んだ。それから両手で手際よくその皮が剥がれ透き通るような肉が取り除かれて清らかな内臓が出てきた。心臓がまだひくひく動いている。
「どうだ。いいだろう。」
弟は漠然と笑った。
「人間とそう違わないんだぜ。」
「うん。」
二人はしばらく黙ってじっとその解剖体を見ていた。それから兄はそれをブリキ板ごと、前の井戸の中へ放りこんだ。胃袋や肝臓や直腸が板を放れてばらばらに水の中に浮き沈みした。兄は解剖刀を洗って二三度水を切って立ち上った。太陽の光が眩しいほど明かに彼らの上に落ちてきた。
二人は並んで主家の方へ引き返えした。
「聖書なんか読むよりずっとおもしろいだろう?」