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あおおにのふんどしをあらうおんな
青鬼の褌を洗う女
線上閱讀坂口 安吾《青鬼の褌を洗う女(あおおにのふんどしをあらうおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 40,368 字 · 79 頁
私は少女のころから男の年齢が苦にならず、女学生の時も五十をすぎた教頭先生が好きでたまらなかった。この人も美しい人ではなかった。
終戦後、久須美は私に家をもたせてくれたが、彼はまったく私を可愛がってくれた。そしてあるとき彼自身私に向って、君は今後何人の恋人にめぐりあうか知れないが、私ぐらい君を可愛がる男にめぐりあうことはないだろうな、といった。
私もまったくそうだと思った。久須美は老人で醜男だから、私は他日、彼よりも好きな人ができるかも知れないけれども、しかしどのような恋人も彼ほど私を可愛がるはずはない。
彼が私を可愛がるとは、たとえば私が浮気をすると出刃庖丁かなにか振り廻して千里を遠しとせず復縁をせまって追いまわすという情熱についてのことではなくて、彼は私が浮気をしても許してくれる人であった。
彼は私の本性を見ぬいて、その本性のすべてを受けいれ、満足させてくれようとする。彼が私に敢て束縛を加えることは、浮気だけはなるべくしてくれるな、浮気するなら私には分らぬようにしてくれ、というぐらいのことだけであった。
だいたい私みたいなスローモーションの人間は、とても世間並の時間の速力というものについて行けない。