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ひぼんなるぼんじん
非凡なる凡人
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《非凡なる凡人(ひぼんなるぼんじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,449 字 · 17 頁
の家の庭へ、裏山からドヤドヤと駈下りて、案内も乞わず、いきなり井戸辺に集まって我がちにと水を汲んで呑んだ。
すると二階の窓から正作が顔を出してこっちを見ている。僕はこれを見るや
「来ないか」と呼んだ。けれどもいつにないまじめくさった顔つきをして頭を横に振った。腕白のほうでも人並のことをしてのける桂正作、不思議と出てこないので、僕らもしいては誘わず、そのまままた山に駈登ってしまった。
騒ぎ疲ぶれて衆人散々に我家へと帰り去り、僕は一人桂の宅に立寄った。黙って二階へ上がってみると、正作は「テーブル」に向かい椅子に腰をかけて、一心になって何か読んでいる。
僕はまずこの「テーブル」と椅子のことから説明しようと思う。「テーブル」というは粗末な日本机の両脚の下に続台をした品物で、椅子とは足続ぎの下に箱を置いただけのこと。けれども正作はまじめでこの工夫をしたので、学校の先生が日本流の机は衛生に悪いといった言葉をなるほどと感心してすぐこれだけのことを実行したのである。そしてその後つねにこの椅子テーブルで彼は勉強していたのである。そのテーブルの上には教科書その他の書籍を丁寧に重ね、筆墨の類までけっして乱雑に置いてはない。