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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

線上閱讀久生 十蘭《顎十郎捕物帳(あごじゅうろうとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,028 字 · 28 頁

青空文庫

これが表むきになったら、なまやさしいこっちゃアおさまらねえ。……それはそうと、そっちの調べはどうだった」

千太は小腰をかがめて、

「へえ、やはり、お見こみ通りでございました。……紀州様とほぼ同時刻に外糀町口をとおった女乗物は、赤坂表町の松平安芸守さま、それに、外桜田の鍋島さまと毛利さま、このお三家でございます。……松平さまのほうは丸山浄心寺のおかえり、毛利さまは早稲田、馬場下の願満祖師のおかえり、鍋島さまのほうは大塚本伝寺のおかえりでございました」

「外糀町口の木戸をとおったときのそれぞれのお乗物のかずは?」

「それが、つごうの悪いことに、お三家がお通りになったのが、六つぎりぎりというところ。最後の鍋島さまがお通りになったところで、太鼓が鳴って木戸がしまり、ちょうどそこへ紀州様のお乗物がついたというわけで、したがって、お三家中の乗物の数はわかりかねるんでございます」

「うむ、よろしい。……では、木戸を出たときの乗物のかずは?」

「松平さまは赤坂見附の木戸をお通りになって、これが二十六挺。毛利さまは喰違御門をお通りになって、これが同じく二十六挺。鍋島さまは赤坂御門の桝形で、これが二十四挺でございました」