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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁

青空文庫

私はその後、娼婦あがりの全く肉体の感動を知らない女と知ると、微妙な女の肉体とあいびきするのが、気がすすまぬようになっていた。

娼婦あがりの感動を知らない肉体は、妙に清潔であった。私は始め無感動が物足りないと思ったのだが、だんだんそうではなくなって、遊びの途中に私自身もふとボンヤリして、物思いに耽ることがあったり、ふと気がついて女を見ると、私の目もそうであるに相違ないのだが、憎むような目をしている。憎んでいるのでもないのだけれども、他人、無関心、そういうものが、二人というツナガリ自体に重なり合った目であった。

「憎んでいる?」

女はただモノうげに首をふったり、時には全然返事をせず、目をそらしたり、首をそらしたりする。それを見ていること自体が、まるで私はなつかしいような気持であった。遊び自体がまったく無関心であり、他人であること、それは静寂で、澄んでいて、騒音のない感じであった。

そして私は矢田津世子の肉体を知らないことを喜んだ。その肉体は、この二人の女ほど微妙な魅力もこもっておらず、静寂で、無関心である筈はない。私にとって、女体の不完全な騒音は、助平根性をのぞけば、侘しくなるばかりだから。