輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かぜのたより
風の便り
線上閱讀太宰 治《風の便り(かぜのたより)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,044 字 · 66 頁
行きづまった等、そんな大袈裟な事を、言える柄では無かったのです。私は、なんにも作品を書いていなかった。なんにも努めていなかった。私は、安易な隙間隙間をねらって、くぐりぬけて歩いて来た。窮極の問題は、私がいま、なんの生き甲斐も感じていないという事に在ったのでした。生きる事に何も張り合いが無い時には、自殺さえ、出来るものではありません。自殺は、かえって、生きている事に張り合いを感じている人たちのするものです。最も平凡な言いかたをすれば、私は、スランプなのかも知れません。恋愛でもやってみましょうか。先日あんな、だらしない手紙を差し上げ、それから後で、つくづく自分のだらしなさ、青臭さを痛感して、未だ少しも自分の形の出来ていないのがわかり、こんな具合では、もういちどはじめから全部やり直さなければなるまい、けれども一体、どこから手をつけて行けばいいのか、途方に暮れて、愚妻の皺の殖えたソバカスだらけの顔を横目で見て、すさまじい気が致しました。私は、自分に呆れました。そうして、けさは又、あなたから、たいへん短いお言葉をいただき、いよいよ自分に呆れました。先日の私の、あんな、ふざけた手紙には、これくらいの簡単な御返事で適当なのだろうと思い知りました。