輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かぜ
風
壺井 栄
線上閱讀壺井 栄《風(かぜ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,702 字 · 78 頁
新しい家のとなりには、Kという若い少女小説家がいて、まっさきに親しくなっていたが、それは心の底から信頼しあう親しさには発展しそうもなかった。第一言葉も通じなかった。Kは以前の家主と同じ秋田人で訛りはさらにひどく、奥さんというのがウクスンと聞こえる。ときどき茂緒に妙なことをいった。
――うくすん、てんばつのバツはバツがふんとでしか、バツがふんとでしか……。
彼にすれば天罰の罰はバツがほんとうか、バチがほんとうかといっているのだが、いくどくりかえしても茂緒にはさっぱり通じなかった。茂緒が笑ってしまうと、人のよい彼も笑って引きさがった。その意味は十日もたってから彼の若い細君にきいて分かった。少女小説家は罰を仮名で書かねばならなかったのだという。彼の家へゆくと、古い子供の雑誌が、どこの壁のきわにもうず高く積みかさねてあった。夜店を歩くとき、彼ら夫婦は古雑誌ばかりをあさった。その中の少女小説を焼きなおすことで、彼ら夫婦の生活はほそぼそとつづけられているのである。べつに大きな希望を持つでなく、それを本職として甘んじている彼らをみると、茂緒は何かしら辛くなった。