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しょくま
食魔
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《食魔(しょくま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,911 字 · 74 頁
永遠に――。鼈四郎はときどき死ということを想い見ないことはない。彼が生み付けられた自分でも仕末に終えない激しいものを、せめて世間に理解して貰おうと彼は世間にうち衝って行く。世間は他人ごとどころではないと素気なく弾ね返す。彼はいきり立ち武者振りついて行く。気狂い染みているとて今度は体を更わされる。あの手この手。彼は世間から拒絶されて心身の髄に重苦しくてしかも薄痒い疼きが残るだけの性抜きに草臥れ果てたとき、彼は死を想い見るのだった。それはすべてを清算して呉れるものであった。想い見た死に身を横えるとき、自分の生を眺め返せば「あれは、まず、あれだけのもの」と、あっさり諦められた。潔い苦笑が唇に泛べられた。かかる死を時せつ想い見ないで、なんで自分のような激しい人間が三十に手の届く年齢にまでこの世に生き永らえて来られようぞと彼は思う。
生を顧みて「あれは、まず、あれだけのもの」と諦めさすところの彼の想い見た死はまた、生をそう想い諦めさすことによってそれ自らを至って性の軽いものにした。生が「あれは、まず、あれだけのもの」としたなら、死もまた「これは、まず、これだけのもの」