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たかいきとこどものはなし

高い木と子供の話

小川 未明

線上閱讀小川 未明《高い木と子供の話(たかいきとこどものはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,979 字 · 10 頁

青空文庫

二

「おら、うちへ帰って、子守しなければ、しかられるから、鬼ごっこをよしておこう……。」

こういって、名残惜しそうに帰ってゆきました。

二

いつからともなく、善吉は、みんなから離れて、高い木に登って、ひとり、広々とした景色を見て楽しむことを好むようになりました。ほかの子供たちは、善吉をさるとあだ名づけたのです。彼は、ぞうりを草の中に隠して、高い木に登りさえすれば、いっさい、うるさい世の中のことからはなれてしまえば、また、耳に聞くこともなかったのでした。たとえ、母親が、いくら自分の名を呼びながら探しても、見つかる気遣いもなければ、だれだって、自分の姿を探し出すものはなかったのです。

「しっかり、枝に足をかけて、わき見をしてはだめだ。そうだ、もう一段、もう一段……。」と、太陽は、大空から声をかけてくれて、にこやかに笑いながら、善吉の登るのを見ていました。

「こんなに、よく遠く晴れているが、おまえには海に浮かんでいる白帆の影は、見えなかろう……。」と、やさしい風は、やわらかに吹いて、善吉のほおをなでてゆきました。やっと、しなしなしなう頂まで登って顔を出すと、

「おまえは、まるで鳥のようだな。