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きぶつどうじけん
鬼仏洞事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《鬼仏洞事件(きぶつどうじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,468 字 · 30 頁
おれはもう、貴様との交際は、真平だ」
そういって顔子狗は、さっさと、向うへ歩みだした。
「おい顔子狗よ」と例の案内役が、後から呼びかけた。
「お前とは、もう会えないだろう。気をつけて行け。はははは」
「勝手に、笑っていろ」
顔子狗は、捨台辞をのこして、一行の方を振りかえりもせず、すたすたと、水牛仏の前をすり抜けようとした――その瞬間のことであった。
「呀っ!」
顔の身体は、まるで目に見えない板塀に突き当ったように、急に後へ突き戻された。とたんに彼は両手をあげて、自分の頸をおさえた。が、そのとき、彼の肩の上には、もはや首がなかった。首は、鈍い音をたてて、彼の足許に転った。次いで、首のない彼の身体は、俵を投げつけたように、どうとその場に地響をうって倒れた。
一行は、群像のようになって、それより四五メートル手前で、顔子狗のふしぎなる最期に気を奪われていた。
遥か後方にはいたが、風間三千子は、煌々たる水銀灯の下で演ぜられた、この椿事を始めから終りまで、ずっと見ていた。いや、見ていただけではない。
(あ、あの人が危い!)
と思った瞬間、彼女は、ハンドバックの中に手を入れるが早いか、小型のシネ撮影器を取り出し、顔子狗の方へ向け、フィルムを廻すための釦を押した。