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まぞう
魔像
林 不忘
線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁
消え入りそうに、額部が畳についた。
「ふん、如何に中原の鹿を射当てた果報者じゃとて、新役は新役、何もそうお高く留まらずとも、古参一同に年賀の礼ぐらい言われぬはずはござるまいッ!」
いつもの通り、列座同役の尻押しにいきおいを得て、戸部近江之介はなおも威猛高である。自分で怒っているうちに一そう激しく怒り出すのがこの人の性癖で、口尻を曲げてこう言い放った時、近江之介は、自らの憤怒に圧倒されて、もはや口も利けない様子だった。が、ちらりと眼を人々の顔に走らせて同意を求めると、池上新六郎、飯能主馬、横地半九郎、日向一学、猪股小膳、浅香慶之助、峰淵車之助、荒木陽一郎、長岡頼母、山路重之進、大迫玄蕃、妙見勝三郎、保利庄左衛門、博多弓之丞、笠間甚八、箭作彦十郎、松原源兵衛――居ならぶ御書院番衆の頭が、野分のすすきのように首頷き合い、ささやき交して、眼まぜとともに裃の肩がざわざわと揺れ動く。
同時に、色いろの声がした。
「戸部氏のご立腹、ごもっともでござる。下世話にも、とかく女子にもてる男には嫌なやつが多いと申す、ぷッ! 高慢面、鼻持ちならぬわ」
「神尾氏ッ! こウれ! 無言は非礼、何とか早速御挨拶あって然るべしじゃ」