輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まぞう

魔像

林 不忘

線上閱讀林 不忘《魔像(まぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 頁

青空文庫

しきりにそんな気がした。

「彼奴、これを喰わそうかと刀を叩きおったわ。離せ! 引っ捕まえて、板の間に鼻を擦りつけてやるのじゃ。離せッ」

とうとう一同を押し切って出て行ってしまった。二、三人が、ばたばたと続こうとした。その前へ、笠間甚八と松原源兵衛が大手をひろげて立った。

「お忘れ召さるな。殿中でござるぞ!」

これが効いた。殿中ということも、元旦であるということも、忘れていたわけではないが、前後して出て行った喬之助と近江之介が、何となく気になる空気を残して行った。しかし、相手はどうせあの喬之助である。大したこともあるまいが、どこか人眼につく場処で口論でもされては、新御番詰所一同の失態になるかも知れない。が、これも、考えてみれば杞憂に過ぎない。片方が組与頭の戸部氏である。まさか一時の怒りに任せて、そんな愚をするはずはない。かえって多人数がお廊下などを歩き廻っては面白くないから、安心して、ここで雑談でもしながら退出の時刻を待つとしよう。止められると、皆その気になって、出足を引っこめて一同詰所にすわった。

大体が、近江之介におべっかを使うための喬之助いじめである。