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あゆのくいかた
魯山人の食卓
北大路 魯山人
線上閱讀北大路 魯山人《魯山人の食卓(あゆのくいかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,022 字 · 115 頁
本店の方は前述のごとく昔日の俤はないが、支店特異の腕前は現在新橋辺の寿司屋としては、まず第一に指を屈すべきで、本店の衣鉢は継がれたわけである。しかし、支店みっちゃんの方はうまいにはうまいが、旧式立食形なる軒先の小店で狭小であり、粗末であり紳士向きではない。ただ口福の欣びを感ずるのみである。
しかし、本店のおやじがジャズ調であるのに反し、支店は地唄調というところで、いとも静かな一見養子風の歯がゆいまでにおとなしい男。毎朝魚河岸に出かけ、帰るやただちに仕込みにかかる。飯が炊けて客を迎えるまでには相当時間を要し、正午に間に合うことはきわめて稀で、二時ごろ表をあけるのが日常となっている。一人の小僧も小女もいない一人きりの仕事だからである。妻女はあっても子供の世話かなにかで二、三時ごろでなくては出勤しない。茶を入れるくらいの手伝いで、おやじを助けるところが関の山である。
しかし、一利一害あって、それなるが故にまったく一人芸の表われがあり、個性的な点からいえば申し分ないが、手が回らぬという恨みが伴い、その結果、大切な飯の出来がいつも不完全で、わたしは何度注意したか分からないが、今もってその弊は続いている。