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めいせつじじょでん

鳴雪自叙伝

内藤 鳴雪

線上閱讀内藤 鳴雪《鳴雪自叙伝(めいせつじじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,693 字 · 377 頁

青空文庫

とか、『助さんに聞える』とかいって、何ら腕力もなく武芸も劣等なものながら、どうかこうか好い境遇を得ていたのである。

ついでにいうが、右の如く市中へ肉など買いに行くという事は、婢僕を使っている士分の家では主人は勿論家族でも多くはせなかった。もし買う事があれば、僕を遣わすか、あるいは宅に呼び寄せて買うので、呉服小間物類は別として、そうしていた。そこで私は父の役目もあるから一層この束縛に就いていたのだが、或る年忘年会の幹事に当ったので、他の幹事に率いられて肉を買いに行った。夜分とはいえ少し極り悪く感じていると、他の者が『助さんはさぞお困りであろう。』といって労わりながらも冷やかしたことがあった。

この寄宿舎は食事だけは藩命の者と否らざる者とを問わず、藩より支給せられて、多くは賄方が請負で仕出をしていたが、あるいは小使をして拵えさせた時もあった。まず朝は漬物、昼は煮菜と漬物というあたりであった。そして毎日その頃の七ツ時から六ツ時までは帰省といって、宅の父兄の機嫌を訪ねに戻る例であったから、夕飯だけは各自宅で食った。その出入は当番の先生に一々報告した。また夜遅くなるとか、宅に止宿するとかいう時は、理由を述べて先生の承認を得たのである。