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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

線上閱讀小金井 喜美子《鴎外の思い出(おうがいのおもいで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 127,675 字 · 254 頁

青空文庫

年はまだ十七、八歳でしたろうか、両親は頼もしいものに思って、何事も相談するのでした。

「何かよい考はないかねえ。お父様は今までにそんなことに馴れていられないから、ひどく苦にしていらっしゃるのだが。」

そこで兄は、様子を父から聴いて、二、三枚の原稿を書きました。

「こんなことではどうでしょう。私の考違いがあったら直します。」

父は喜んで、「いや結構だろう。随分どうかと思われるようなことをいう人もあるのだから。自分の考も少し混ぜて話すとしよう」といいました。

やがてその日が来ました。何んだかそわそわして落附けませんかった父は、夕刻機嫌よくお帰りになって、「よかったよ。なかなか評判がよくて、己は面目を施したよ」とのことでした。

次の土曜日には、父は朝から、「今日は林に好物を御馳走してやろう」といって、兄の帰りを待っていられます。私たちはお相伴が出来るので大喜びです。

「この間はありがたかった。お蔭で工合がよくて、会長から、森さんあなたがあんなにお話が上手だとは思いませんかった、またどうか話して下さい、といわれたよ。」

父のそうした話を聞いて、「それはお父様のお話し方がよかったのでしょう。