輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

わし

鷲

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《鷲(わし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,476 字 · 290 頁

青空文庫

」と、ひとりが訊いた。

「むむ、きこえる。たしかに鳥の羽音だ。よほど大きい。」

彼は衝と起って、母屋から自分の離れ座敷へもどった。そうして、大きい声で久助を呼んだ。呼ばれて久助は駈けてきたが、彼はもう酔っていた。

「な、なんでございます。」

「鷲の羽音がきこえる。支度をしろ。」

主従二人は直ぐに身支度をして表へ駈けだした。こうなると、他の人々も落着いてはいられなくなった。いずれも半信半疑ながら、思い思いに身支度をした。中には多寡をくくって、着のみ着のままでひやかし半分に駈けだすのもあった。

出て見ると、それは弥太郎の空耳ではなかった。昼のように明るい冬の月が晃々と高くかかって、碧落千里の果てまでも見渡されるかと思われる大空の西の方から、一つの黒い影がだんだんに近づいてきた。それは鳥である。鷲である。あの高い空の上を翔りながら、あれほどの大きさに見えるからは、よほどの大鳥でなければならない。

「旦那さま。尾白でしょうか。」と、久助は勇んだ。

「まだ判らない。騒ぐな。静かにしろ。」

弥太郎は鉄砲を取直した。久助は固唾をのんだ。鳥は次第に舞い下がってきて、静かな夜の空に一種の魔風を起すような大きい羽音は、だれの耳にも、もうはっきりと聞えるようになった。