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おうむぐらかえくびでんせつ

鸚鵡蔵代首伝説

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《鸚鵡蔵代首伝説(おうむぐらかえくびでんせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,083 字 · 26 頁

青空文庫

「お仕事は、まだお済みではございませんかな」

「チェ」とお篠は舌打ちをした。

「まだ済まぬよ。……向こうへ行っておいで。……お前などの来るところではないよ」

「へい。ちょっとお話を……」

「また! いやらしい話かえ! ……くどい」

「いいえ……よく聞いていただきまして……」

「お黙り!」

飯食い地蔵

翌日菊弥は庭へ出て陽を浴びていた。

寛文四年五月中旬のさわやかな日光は、この山国の旧家の庭いっぱいにあたっていた。広い縁側を持った、宏壮な主屋を背後にし、実ばかりとなった藤棚を右手にし、青い庭石に腰をかけ、絶えず四辺から聞こえてくる、老鶯や杜鵑の声に耳を藉し、幸福を感じながら彼は呆然していた。納屋の方からは、大勢の作男たちの濁声が聞こえ、厩舎の方からは、幾頭かの馬の嘶く声が聞こえた。時々、下婢や下男が彼の前を通ったが、彼の姿を眼に入れると、いずれも慇懃に会釈をした。彼を、この家の主婦の弟と知って、鄭重に扱うのであった。

(いいなあ)と菊弥は思った。

(これからわしはずっとここで生長なるのだ。そうしてここの家督を継ぐのだ。これ迄は、父親のない、貧しい浪人者の小倅として、どこへ行っても、肩身が狭かったが、もうこれからはそんなことはないのだ)