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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《黒百合(くろゆり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 78,148 字 · 154 頁

青空文庫

義作君はたった今、その馬が放れました一件で。」

「実は何でございます、飛んだ疎匆をいたしやして、へい。ねえ、お道どん、こういう訳なんだ、実は、」

「はあ、そりゃもう、路で聞きましたよ、飛んだことだったね、でもまあ可い塩梅に。」

「御家来さん、危うがしたな。」

「しかし怪我アしなさらなくって何よりだったよ。」と車夫どもは口々なり。お道もまた、

「そうねえ。」

「ええ、もう私ゃ怪我なんぞ厭やしませんが、何、皆千破矢の若様のお庇なんで、へい。」

「ちょいとどうなすったの、滝太郎さんは。」と姫は四辺を見て、御意遊ばす。

「お馬はあすこに居るじゃあないかね。」

「お嬢様、何ですか、その事でこちらへお越しなんですか。」

「何あのお雪のことなの。」

「姉さん、花売なんだがね、十八九でちょっとそういった風な女を見当りはしなかったかい。」

お道に聞かれて米が答えようとするのを、ちゃっと引取ったのは今両人が鍵屋の女客に引付けられて、店から出るのに気を揉んで、あとからついて出て立っている蔵屋の女。

「その人なら、存じております、今朝ほどでございました。」

「私だって知ってます。」と、米はつんとして倉を流。