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メンスラ ゾイリ

Mensura Zoili

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《Mensura Zoili(メンスラ ゾイリ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,049 字 · 9 頁

青空文庫

頭の毛を、長くもじゃもじゃ生やしている所では、どうも作家とか画家とか云う階級の一人ではないかと思われる。が、それにしては着ている茶の背広が、何となく釣合わない。

僕は、暫く、この男の方をぬすみ見ながら、小さな杯へついだ、甘い西洋酒を、少しずつなめていた。これは、こっちも退屈している際だから、話しかけたいのは山々だが、相手の男の人相が、甚だ、無愛想に見えたので、暫く躊躇していたのである。

すると、角顋の先生は、足をうんと踏みのばしながら、生あくびを噛みつぶすような声で、「ああ、退屈だ。」と云った。それから、近眼鏡の下から、僕の顔をちょいと見て、また、新聞を読み出した。僕はその時、いよいよ、こいつにはどこかで、会った事があるのにちがいないと思った。

サルーンには、二人のほかに誰もいない。

暫くして、この妙な男は、また、「ああ、退屈だ。」と云った。そうして、今度は、新聞をテーブルの上へ抛り出して、ぼんやり僕の酒を飲むのを眺めている。そこで僕は云った。

「どうです。一杯おつきあいになりませんか。」

「いや、難有う。」彼は、飲むとも飲まないとも云わずに、ちょいと頭をさげて、「どうも、実際退屈しますな。