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まるまるじゅう
○○獣
海野 十三
線上閱讀海野 十三《○○獣(まるまるじゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,139 字 · 43 頁
敬二少年は、思いがけなく十円紙幣が懐中に転がりこんだので、彼はしばし夢ごこちであったが、いくど懐中から出して改めてみても、十円紙幣はいつも十円紙幣に見えた。化け狸がくれた紙幣ならもうこのへんで木の葉になっていいころだったが、そうならないところを考えると、なるほどやはり本当に十円儲かったのだと分った。
そうなると敬二は、この十円をどういう具合につかったらいいのだろうかと、また考えこまなければならなかった。
いろいろ考えた末、彼はいいことを考えついた。それはカメラを手に入れることだった。カメラを手に入れるといっても、十円のカメラを買ったのでは、みすぼらしい器械しか手に入らない。それではつまらぬと思ったので、たいへん考えた末、ちかごろ高級カメラとして名のあるライカを借りることにした。ライカを一週間借りて損料十円――ということにきまった。この店は、敬二がよく使いにゆく店だったので、店でもたいへん便宜をはかってくれて、十円の損料だけでよいということだった。
敬二はすっかり嬉しくなって、速写ケースに入ったライカを首にかけて離さなかった。使いにゆくときも、食事をするときも寝るときも、彼はカメラを首にかけていた。