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あたまでっかち

あたまでっかち

下村 千秋

線上閱讀下村 千秋《あたまでっかち》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 頁

青空文庫

」

おかあさんはそっぽをむいていいます。

「なんでよ、なんでよ?」

「おとっつあんにしかられるから。」

そういうと、おかあさんはいきなり土間へおり、裏庭へでていきました。林太郎はもう夢中になり、はだしのままおっかさんの後をおいかけました。そうして、ひきつったような声でなきさけびだしました。

おかあさんもそれには困りました。おかあさんはかきの木につかまって考えていました。そして林太郎になにかいいそうにしましたが、それもいわないで、ただ、

「そんならつれていこ。」

とだけいって、林太郎の手をとりました。

おかあさんのお里の村までは、丘づたいに入江をぐるりと回っていけば、二里あまりありましたが、舟でまっすぐに入江を横ぎっていけば、十四、五丁しかありません。それに湖の岸にすむ人たちは、女でも子どもでも船をこぐことはじょうずですから、おかあさんもお里へかえるときは、いつも自分で船をこいでいきました。船は、このへんで「さっぱ船」という小さな船で、田植えをするときなどなくてならないものですから、どこの家でも一つぐらいは持っていたのです。

おかあさんは、そのさっぱ船のまん中へ林太郎をのせると、竹ざおをとってするするとおしだしました。