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いたずらこぞうにっき

いたずら小僧日記

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《いたずら小僧日記(いたずらこぞうにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,226 字 · 128 頁

青空文庫

乃公は噎せ返って、余り苦しかったから、大きな声を出した。

すると皆が馳け付けたが、奥さんが錠を下しっぱなしにして買物に行ってしまったから、開る訳がない。乃公は尚お大きな声を出して、「火事だ火事だあ、助けてくれい」と呶鳴った。窓が開くなら疾くに飛び下りるのだが、生憎凍りついていて動きもしない。乃公は本当に死ぬかと思ったから、益※(二の字点、1-2-22)大声を立てた。すると、

「太郎さん、太郎さん、窓の硝子を壊して出なさい。構いませんから早く壊して」

と大内さんの呼ぶ声が聞えた。乃公は椅子を振り廻して、硝子を一枚残らず滅茶苦茶に砕いてから外へ飛出した。右の掌に二箇所硝子の片が立っていた。

間もなく校長と奥さんが帰って来た。大内さんから話を聞いて早速乃公を呼出した。

「太郎さん」

と校長は怖い顔をした。校長は呼付けて叱る時には、何時も先ず「太郎さん」と一応名前を呼んで置いて、眼鏡を外してハンケチを出して、硝子玉を拭きながら徐々と小言を繰り出す。

「お父さんの許へ書付をやるから左様思いなさい。彼は一週間人を入れなければ直らない。一枚壊せば充分出られるじゃありませんか。