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いたずらこぞうにっき

いたずら小僧日記

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《いたずら小僧日記(いたずらこぞうにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,226 字 · 128 頁

青空文庫

落ちたのは如何にも乃公の過失だ。しかし其過失の原因は全く姉さん達にある。

余り天気が好いので魚は些っとも餌につかない。乃公は退屈だったから、ワッフルを喰べ、ビスケットを食い、林檎まで平げて、最早好い加減にして切上げようとしていると、浮が頻りに動く。竿が絞れる程グイグイ引く。占めたと思って竿を揚げる拍子に、余り前へ乗出したもので、不覚川の中へ込んで了った。決して落ちたくて落ちたんじゃない。

気がついた時には、乃公は藁火の傍に大勢に取巻かれていた。大方乃公が死んだと思って火葬にする積りだったのだろう。気の早い奴等だ。若し骨になってから正気に返ったら奈何する積りなんだろう。真正に危い所だった。油断も隙もなりゃしない。

水車の叔父さんに背負さって、家に着いたのは最早トボトボ頃であった。お母さんは乃公を抱占めて涙を流した。宛然十年も別れていたようである。姉さん達も太郎太郎って恰も太郎の歳の市が始ったような騒動を入れる。殊にお花姉さんは身に覚えがあるから親切なもので、上等のビスケットを乃公の枕元へ持って来てくれた。皆の御機嫌は既に全然変っている。して見ると時には川に落ちるのも、大阪の伯父さんの言葉を借りていえば、川に陥るのも、満更損じゃないと思う。