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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《おごそかな渇き(おごそかなかわき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 頁
「あたしおなかがすいちゃったわ」
「ぼくもさ、水のあるところを捜していたんだ」と云って彼は肩のリュックサックを揺りあげながら、左のほうを指さして、あそこがよさそうじゃないかと云った。若い杉林に囲まれた陽だまりの窪地で、枯草がいかにもあたたかそうであり、すぐ脇に細い流れがきらきらと光っているのが見えた。二人はそこで背負って来た物をおろし、りつ子は頭の風呂敷をとりのけながら、どしんと枯草の上へ腰をおろし、両足をなげだした。――思ったとおりそこはあたたかで、陽に蒸された枯草の匂いが、空気の中にあまく匂っていた。
松山隆二はリュックサックから錫のカップを外し、細い流れまでいって、清らかに澄みとおった冷たい水を満たし、こぼさないように用心しながら戻った。そして竹中啓吉に焼いて貰った、もろこし餅の包みをひらき、りつ子と二人のあいだに置いた。
「あら、あたしそれいらないわ」りつ子は背負って来た包みをほどき、中から竹の皮に包んだ物を出して見せた、「これなんだと思って、お兄さん」
「断わっておくけれど、そのお兄さんはやめてくれないか、としからいったっておじさんのほうがいいんだから」