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おせん
おせん
邦枝 完二
線上閱讀邦枝 完二《おせん》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,074 字 · 148 頁
「ふふふ。平賀源内の文句じゃねえが、春重の眼は、一里先まで見透しが利くんだからの。お前が徳さんとこで会って、どこへ行ったかぐらいのこたァ、聞かねえでも、ちゃんと判ってらァな」
「おやッ、行った先が判ってるッて」
「その通りだ、当てやろうか」
「冗談じゃねえ、いくらお前さんの眼が利いたにしたって、こいつが判ってたまるもんか。断っとくが、当時十六文の売女なんざ、買いに行きゃァしねえよ」
「だが、あのざまは、あんまり威張れもしなかろう」
「あのざまたァ何よ」
「垣根へもたれて、でんぐる返しを打ったざまだ」
「何んだって」
「おせんの裸を窺こうッてえのは、まず立派な智恵だがの。おのれを忘れて乗出した挙句、垣根へ首を突っ込んだんじゃ、折角の趣向も台なしだろうじゃねえか」
「そんなら重さん、お前さんはあの様子を。――」
「気の毒だが、根こそぎ見ちまったんだ」
「どこで見なすった」
「知れたこった。庭の中でよ」
「庭の中」
「おいらァ泥棒猫のように、垣根の外でうろうろしちゃァいねえからの。――それ見な。鬼童丸の故智にならって、牛の生皮じゃねえが、この犬の皮を被っての、秋草城での籠城だ。おかげで画嚢はこの通り。