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おせん
おせん
邦枝 完二
線上閱讀邦枝 完二《おせん》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,074 字 · 148 頁
「手前は太夫からのおいいつけで、お上さんをお迎えに上ったのでござります」
「わたしを迎えに。――」
「へえ。――そうしてあの帯をどうなされました」
「何、帯とえ」
「はい。おせんさんの帯は、お上さんが、お持ちなされたのでござりましょう」
「そのような物を、わたしが知ろかいな」
「いいえ。知らぬことはございますまい。先程お出かけなさる時、帯を何んとやら仰しゃったのを、新七は、たしかにこの耳で聞きました」
「知らぬ知らぬ。わたしが春信さんをお訊ねしたのは帯や衣装のことではない。今度鶴仙堂から板おろしをしやはるという、鷺娘の絵のことじゃ。――ええからそこを退きなされ」
「いいや、それはなりません。お上さんは、確に持ってお出なされたはず。もう一度手前と一緒に、白壁町のお宅へ、お戻りなすって下さりませ」
「なにいうてんのや。わたしが戻ったとて、知らぬものが、あろうはずがあるかいな。――こうしてはいられぬのじゃ。そこ退きやいの」
おこのが払った手のはずみが、ふと肩から滑ったのであろう。袂を放したその途端に、新七はいやという程、おこのに頬を打たれていた。
「あッ。お打ちなさいましたな」