輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《お久美さんと其の周囲(おくみさんとそのしゅうい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 頁
其れから又、自分の毎日の生活にお久美さんと云う若い娘が加わって居る事も重三には珍しかった。
今まで朝夕顔を見合わせて居たのはもう六十を越した老女で有ったに拘らず、何処から何処まで力の張り切った様な滑かな皮膚と艷やかな髪を持ったお久美さんは、重三の目に殆ど神秘的に写って、素足が小石混りの熱い地面を走って通る時、重そうな釣瓶を手繰るムクムクした手を見ると、黙って見ては居られない様な気が仕て居た。
けれ共物馴れない重三は其那時自分の取るべき方法を知らないので近寄りもしずに遠くから気の毒そうに眺めて居る許りであった。
上半身をズーッと下げて、下の板間に敷いた紙にサラサラサラサラ音を立てながら素早い手付きで髪を梳いて居る姿、湯上りの輝いた顔を涼風に吹かせて凝り固った様にして居る様子等は、皆重三に自分とはまるで異った美くしいものだと思わせた。
素直な崇拝者が其の偶像に対した時と同じ気持で、別世界から降って来た様なお久美さんを見て居た。
容貌の美醜等と云う問題は重三の頭になく、只珍らしい、何だか奇麗に違いないらしい気持がして、出来る丈度々声も聞き姿も見て居たかった。