輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おせいとうじょう
お勢登場
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《お勢登場(おせいとうじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,784 字 · 24 頁
そして、今帯を解きにかかろうとした時であった。ふと耳をすますと、隣の夫の部屋から、ガリガリという妙な物音が聞えて来た。虫が知らせるのか、それがどうも鼠などの音ではない様に思われた。それに、よく聞くと、何だかかすれた人の声さえする様な気がした。
彼女は帯を解くのをやめて、気味の悪いのを辛抱しながら、間の襖を開けて見た。すると、さっきは気づかなかった、押入れの板戸の開いていることが分った。物音はどうやらその中から聞えて来るらしく思われるのだ。
「助けて呉れ、俺だ」
幽な幽な、あるかなきかのふくみ声ではあったが、それが異様にハッキリとおせいの耳を打った。まぎれもない夫の声なのだ。
「まあ、あなた、そんな長持の中なんかに、一体どうなすったんですの」
彼女も流石に驚いて長持の側へ走り寄った。そして、掛け金をはずしながら、
「ああ、隠れん坊をなすっていたのですね。ほんとうに、つまらないいたずらをなさるものだから……でも、どうしてこれがかかって了ったのでしょうか」
若しおせいが生れつきの悪女であるとしたなら、その本質は、人妻の身で隠し男を拵えることなどよりも、恐らくこうした、悪事を思い立つことのす早やさという様な所にあったのではあるまいか、彼女は掛け金をはずして、一寸蓋を持ち上げようとした丈けで、何を思ったのか、又元々通り