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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
線上閱讀佐藤 垢石《『たぬき汁』以後(あわもりものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 頁
城の隅の穴に年古く棲んでいた狸が、神通力に功を積み、ついに茂林寺へと罷り越して、茶釜に化けたのであるという。
それが、わが故郷の厩橋城下に大火が起こったと知ったから、胆を潰したのである。
産湯を使った地を、焦土と化してはいけない。一番、大いに奮闘して消し止めてやろう。
忽ち、一隊の火消組に化けた。纏いを威勢よく舁いで、館林の町をはじめ、近所近在の消防組を狩り集め、十数里の路を、一瞬の間に厩橋城下へ駆けつけた。
多数の消防隊は、燃え盛る猛火のなかへ飛び込んで、縦横無尽に活動したから、かかる大火もついに消し止められたのである。
鎮火して、夜が明けた。ところで、家や土蔵が崩れ落ちて、柱や商品のぶすぶす煙る白い煙のかげに、この地方では見かけぬ消防夫が、あっちこっちにも立っている。でも城下の人々はこの消防夫たちに厚く礼を述べて労を謝し、さて皆さまはどちらの消防隊でございましょうと尋ねると、わたしらは館林近在のものでございます。と答える。
厩橋の人は、たまげた。十数里も、よくまあ飛びつけてくれたものであると、盛んに感激の言葉を発したのである。ところが、今度は消防隊の方から、一体この火事場は、どこでございましょうという質問である。