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だだらだんべえ

だだら団兵衛

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《だだら団兵衛(だだらだんべえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 頁

青空文庫

互いに挨拶が済む。

団兵衛は腰の大小を脱って置くと、袴の股立を高くとり、襷をかけてすっと進んだ。

「貴殿、得物は?」

庄太夫が不審しげに訊くと光政が、

「いや、こなたは無手流の武芸者だ、余が望んでそちと無手で試合うのだからそのまま!」

と声をかけた。

「では私めは?」

「鉄棒なり、また刀なり御自由に!」

と団兵衛が答える。

「これは迷惑な」

さすがに庄太夫面ふくらせたが、君命とあれば是非なく、これも手早く仕度をしてかの大鉄棒をぐいと取上げた。

「しからばこの鉄棒をもって御相手仕る、が、勝負のほどは何をもって定められるか?」

と訊く。団兵衛は無雑作に、

「べつに仔細あるまい、勝った者が勝だ!」

と答えた。庄太夫はますますふくれて、鉄棒をうんと持上げ、ものをも云わずぶんぶんと三五度、これ見よと云わぬばかりにうち振った。

「さ、参ろうか!」

「参ろう」

と団兵衛、一歩退って身構えたが、ふと庄太夫の足元を指差して冷笑しながら、

「畠山氏、足袋の革紐が解けておる!」

と云った。庄太夫がはっとして俯向く、刹那! つと寄った団兵衛相手の脇差に手が掛る、鞘ごとぐいと抜取るのと、返して庄太夫の真向へ、はっし! と打ち下ろすのとほとんど同時だった。