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だだらだんべえ

だだら団兵衛

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《だだら団兵衛(だだらだんべえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 頁

青空文庫

「うん、して?」

「直ちに京へ上ってお役を果し、帰りにふたたびかの山賊に面会いたし、衣服大小を脱いで渡したのでござります、彼は賊なれども私は武士、一旦貸してくれと約束したからには、事情を論ぜず約を守るが当然のこと、右の次第にて裸となったのでござります!」

「うん! そうか!」

高虎は欣然と眉をひらいて、どうだおれの家来は? と云いたげにちらちらと光政を見る。

「快きことを聞いた」

と池田光政が口を切った。

「団兵衛とやら、武士の約言はかくありたいものだ、が――しかし衣服はともかく、大小は武士の魂、その魂をむざと手放すとは心得ぬがどうじゃ?」

団兵衛微笑んで、

「はっ、恐れながら刀は黄金をもって購いまするもの、君命を果すことは黄金に代え難きものと存じましたゆえ!」

「なるほど、だがもう一つ訊ねる」

光政は重ねて、

「大小脱って裸になった時、もし斬りかかる者があったら何とするか?」

「刀は武術の内の一法でござります、たとえ裸となっても、戦うべき覚悟はござります!」

「無手で戦うとか?」

「はっ!」

少しも動ぜず、いささかも衒わず、思うままを流れるように云って憚らぬ団兵衛の態度を、光政はじっと見戍った。