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だれにもはなさなかったこと

だれにも話さなかったこと

小川 未明

線上閱讀小川 未明《だれにも話さなかったこと(だれにもはなさなかったこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,421 字 · 5 頁

青空文庫

きっと、弱虫とでもいっていたのでしょう。そう知りつつも、僕は勇気を出して、一人で入ることができなかった。それどころか、ますます、悲しくなって、姉の手をひき、

「お姉ちゃんも、いっしょでなければいや。」と、泣かんばかりに、いいました。

姉は、なんと思ったか、いやなようすもみせず、笑いながら、

「しかたがないのね、じゃ、いっしょに入りますよ。」と、いって、門を入りました。

僕のたのみなら、なんでもよくきいてくれる、やさしい姉は、教室の中へも、いっしょに入って、先生のお話を聞いていました。

僕たちは、教場の中で、教わるよりも、外へ出て、広場で遊んだり、うたったりするときのほうが多かった。しかし、僕には、内にいるほうが好ましく、外へ出て、みんなといっしょに手をつなぎ合って、遊戯をしたり、うたったりするのが、なんとなく、はずかしい気がして、好かなかったのです。

それは、二人ずつ、ならんで、たがいに手をとりあって、うたいながら、桜の木のまわりを歩いたときでした。

「ごらんなさい。姉ちゃんみたいな大きな人は、だれもはいっていませんよ。みっともないでしょう。あんたも、これからお友だちと、いっしょにならんで、お歩きなさいね。