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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

線上閱讀大阪 圭吉《とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 頁

青空文庫

と表の道路の方を顎で差しながら、「……いままで二人して、応急の修理をしていたところです」

こんどは紳士のほうが驚いたらしい。

「ふうむ、とにかく僕は、これから直ぐに箱根へ行くのだが――おッと、ここには電話があるだろう?」

「あります」

「よし。箱根の警察へ掛けてくれ給え。いま行ったクーペを直ぐにひっ捕えるように。いいかね。よしんば重役でも、社長でも、構わん」

「そんなら、とてもいい方法がありますよ。向うの箱根峠口の、有料道路の停車場へ電話して、遮断機を絶対に上げさせないんです」

「そいつア名案だ。だが、いまの調子で、遮断機をぶち破って行ってしまいはせんかな?」

「大丈夫です。遮断機には鉄の芯がはいっていますから、私みたいに上げさえしなければ絶対に通れません」

「そうか。いや、そいつア面白い。つまり関所止め、と云う寸法だね。まだクーペは、向うへは着かないだろうね?」

「半分も行かないでしょう」

「よし。じゃあ直ぐ電話してくれ給え。絶対に遮断機を上げないようにね」

事務員は停車場の中へ馳け込んで行った。

間もなく電話のベルが甲高く鳴り響き、壊れかかった遮断機が上って、瀕死の怪我人を乗せた紳士の幌型自動車は、深夜の有料道路を箱根峠めがけてまっしぐらに疾走しはじめた。