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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

線上閱讀大阪 圭吉《とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 頁

青空文庫

最初、懐中電燈を持って飛び込んで来た警官の一人は、倒れた澄子の咽喉がヒューヒューと低く鳴っているのを聞きつけると、直ぐに寄りそって抱き起したのだが、女は、喘ぎながら、

「……房……房枝……」

と蚊細い声で呻いたまま、ガックリなってしまった。

咽喉元へ斬りつけられたと見えて、鋭い刃物の創が二筋ほどえぐるように引ッ掻かれていた。あたり一面の血の海だ。その血の池の端のほうに、窓に近く血にまみれた日本剃刀が投げ捨てられていた。

問題の房枝は、もう人びとが駈けつけた時には、家の中には見当らなかった。房枝だけではない。達次郎もいなかった。ただ、娘の君子だけが、二階へも上れずに、青くなって店先でガタガタと顫えていた。

「青蘭」の女達は、さっきから自分達の見ていた全部の出来事を、簡単にかいつまんで、だがひどく落つきのない調子で、警官に申立てた。例の三人組も、その申立てを裏書きした。この証人達の申立てと云い、被害者の残した断末魔の言葉といい、早くも警官は事件の大体を呑み込んで、早速房枝の捜査にとりかかった。

煙草屋の二階には、殺人の行われた部屋の他に、裏に面した部屋と、間の部屋と、都合二部屋あった。