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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

線上閱讀大阪 圭吉《とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 頁

青空文庫

「まア、悪い夢でも見たと思って、諦めるんだぜ」

けれども、女が黙り込んでそれに答えないと、いままでカウンターに肱を突いて、女と話し込んでいたらしい酒場の亭主のほうへ、向き直りながら話しかけた。

「昨夜の、水上署の大縮尻を、見ていたかい。沖でグルグルどうどうめぐりよ。見てるほうで気が揉めたくらいだった。……いやしかし、どうもこいつア、思ったよりも大きな事件になるらしいぜ」

「いったい、どうなったんかね?」

亭主が乗出して来ると、丸辰は例のガタ椅子を引寄せて腰掛けながら、

「まんまと釧路丸に逃げられて、今度は、各地の監視船へ電信を打ったんだ。つまり、みつけ次第釧路丸をひっつかまえるように、頼んだわけさ」

「ほウ、水上署から、水産局の監視船へ、事件が移牒されたってわけだね?」

亭主が不精髯をなで廻した。

「うン、まアそんなこったろ……だが、なんしろ海は広いんだから、まだみつからない……ところが、一方そうして監視船に海のほうを頼んだ警察は、それから直ぐに、岩倉さんの事務所を叩き起したんだ。ところが、宿直の若僧が寝呆けていてサッパリはかが行かないと、業を煮やして、今度は署長が自身乗り出して、社長邸へ乗り込んで、岩倉さんにジカに面会を申込んだわけさ……ここまでは、まずいい。